STORY

7.名前、誕生日、そして編みながらこぼれた言葉

あとりえ菫
A Name, A Birthday, and Words Spun While Knitting

小さな冊子に記す、世界でたった一つの物語

あとりえ菫のセットには、手のひらにおさまるほどの小さな冊子を添えています。 そこには、その子の名前、誕生日、シリアルナンバー、そして私が編みながら感じたささやかな言葉を記しています。

名前は、自然の情景から授けています。 薄いグリーンの糸で編みあげた子は「翡翠(ひすい)」。 淡いピンクの濃淡が美しい子は「野ばら」。 海を越えて届いた自然から生まれた糸が、私の手を通して形を成したとき、ふっと浮かんでくる名前。それは、その子がこの世界と調和して生きている証でもあります。

誕生日は、その子に「瞳」を授けた日。 同じように編み、同じように縫いつけても、不思議とどの子も違う表情を見せます。 「この子だ」という確かな命を感じるまで、慎重に針を動かすその瞬間は、どこか厳粛で、神様から命を預かるような敬虔な心地がします。

そして、ページの一角に添える、生まれた日の記憶。 私はあえて、この子の「性格」を綴ることはしません。 「この子はとても元気な子ですよ」と決めつけてしまうことは、受け取る方が自由に感じる心を縛ってしまうような気がするからです。

代わりに、その子が生まれた時の情景をそっと置きます。 「雨音の響く、明るい朝にこの子は生まれました」

どのような感情で迎える夜も、この子があなたの隣で、ただ静かに寄り添えるように。 もし私がつけた名前に違和感があれば、どうぞあなただけの新しい名前で呼んであげてください。

シリアルナンバー「001」を持つ、私の大切なパートナー「楓(kaede)」から始まったこの物語。 この冊子が、あなたとその子の間の、絆を深める証となることを願っています。

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