STORY

6.「一点もの」にやどる、不思議ないのち

あとりえ菫
Ten Days to Create a Sanctuary

「十日間」という、ひとつの命が生まれる時間

あとりえ菫では、編みぐるみ単体でのお届けはしていません。 必ず、専用のかごとお布団、そして着替えの服をひとつのセットにしてお届けします。

それは、私にとって譲れないこだわりです。 この子(すみれうさぎ)が安心して眠り、心を休め、健やかに回復できる場所。それを丸ごと用意してあげたい。そんな想いから、一組のセットを完成させるまでに十日間の月日をかけています。
同じものは生まれません。すべて一点ものです。

始まりは、糸との対話です。 「編んでほしい」と語りかけてくる手染めの糸を選び、一針ずつ形にしていきます。 次に命を吹き込む「瞳」の色を。どんな眼差しがこの子に似合うだろうか、刺繍糸を慎重にえらび、縫いつけていきます。

本体が生まれると、次はその子のための「ワードローブ」を仕立てます。 リネンのレースで下着、その子に最も似合うリバティのワンピース。エプロン、ブラウス、スカート……。どの組み合わせでも素敵に輝くよう、色と柄を厳選する時間は、私にとっても至福のときです。

大切なお友達である「ちびうさぎ」を編みあげ、リバティのエプロンを着せてあげると、ようやく「居場所」の準備に取りかかります。

かごに敷くお布団は、柔らかなリネンに薄く綿をはさんで。 枕には素朴な刺繍をして、中にはラベンダーのポプリをしのばせます。そっと頭をのせたとき、優しい香りに包まれるように。 ブランケットは、ウールやシルク、リネンの糸をモチーフ編みにして、その子に似合う色彩をかさねていきます。
ときには、リバティを使ったパッチワークのブランケットにすることもあります。そのほうが似合う子には、そうしてあげたいです。

最後に、すべてを包み込む「あづま袋」をリバティで縫い上げます。

この十日間は、私にとっても「小さな幸せ」をひろいあつめていくような時間です。ひとつひとつ、似合うものを選び、この世にひとつのセットをつくります。 「かごの中」という小さな聖域。 それは、編みぐるみにとっての安らぎの場であると同時に、それを見つめるあなたの心をも、優しく守ってくれる場所になると信じています。

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