STORY

5.ちびうさぎが教えてくれること

あとりえ菫
The Tiny Companion: Chibi-Usagi

編みぐるみが抱く小さな友だち

「すみれうさぎ」のそばには、いつも小さな友だちがいます。 身長わずか7センチ。リバティのエプロンを誇らしげにつけた、その名も「ちびうさぎ」です。

街中で、小さなお子さんが自分だけの大切なぬいぐるみをぎゅっと抱きしめて歩いている姿を見かけることがあります。その光景を目にするたび、胸の奥が温かくなるのを感じます。

何を言っても否定せず、ただ隣にいて、心の内をすべて聞いてくれる存在。 幼いころの私たちは、そんな「ちいさな友だち」の助けを借りて、少しずつ世界と向き合い、成長してきたのかもしれません。

けれど、大人になるにつれ、そんな無垢な憧れはいつしか影を潜めていきました。 「お人形で遊ぶのは子供がすること」「大人がそんなものを持つなんて、おかしいのではないか」……。 いつの間にか自分に制約をかけ、お気に入りの存在を慈しむ心を、どこかへ押しこめてしまっていたように思います。

それでも、私には大人になってからも大切に守り続けてきた世界がありました。 それは、絵本や児童文学の中に流れる、静かで美しい時間です。

「少女趣味」という言葉で片付けられてしまうかもしれません。 でも、好きなものを「好き」と胸を張って言えたらいいなと思うのです。 誰のためでもない、自分自身の心の平穏のために、愛おしいものを愛でる。それは決して恥ずかしいことではなく、むしろ自分を救うための、大切な儀式なのだと気づいたのです。

私が編み上げるこの子たちは、私にとってかけがえのない存在です。 だからこそ、この子にも「ひとりではない安心感」を贈りたい。 大切なこの子に、大切なお友だちを。

ちびうさぎがいることで、編みぐるみもきっと元気でいられる。 そして、そんな二人の姿を見つめるあなたの心も、ふっと軽やかになる。

「ちびうさぎ」は、大人がどこかに置き忘れてきた、自由で純粋な「好き」という気持ちを、もう一度連れてきてくれるメッセンジャーなのかもしれません。

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