2.「ちひさきものは、すべてうつくし」
清少納言が愛でた、ちひさきものへの祈り
幼いころ、お人形とのおままごとが好きでした。庭の南天の赤い実をちいさなお皿にのせながら「この子にとっては、これは大きなりんごかな、それともさくらんぼかな」と想像し、楽しみました。 ふりかえれば、そのころから私の心は、ちいさなものたちがつくる静かな世界を愛していたのだと思います。
清少納言は『枕草子』の中で、こう記しました。
「ちひさきものは、すべてうつくし」
この「うつくし」という言葉には、現代の「きれい」という意味以上に、「愛おしくてたまらない、守ってあげたい」という深い情愛がこめられています。
大人の女性は、いろいろな顔を持っています。妻、母、娘、そして仕事での役割。誰かのために一生懸命であればあるほど、自分のことは後回しになり、心は少しずつ消耗していきます。かつての私が、そうであったように。
編みぐるみをつくろうと思ったとき、ふと、少女のころに憧れた「大草原の小さな家」のローラが大切にしていた布人形、シャーロッテを思い出しました。小学六年生の私は「もうお人形を欲しがる年じゃないから」と、その想いに蓋をしてしまいました。 けれど、大人になった今、私にはそれが必要だったと気づいたのです。
「すみれうさぎ」をかごに寝かせ、ブランケットをそっとかけてあげる。 不思議と、心がほぐれます。 ちいさな存在を慈しみ、いたわるという行為は、巡り巡って、知らず知らずのうちにないがしろにしていた「自分自身」を大切に扱うことへとつながっていくのだと思います。
私のそばには「楓(kaede)」という名の編みぐるみがいます。 あえて笑っていないお顔に仕立てたのは、私のどんな感情にも、ただ静かによりそってほしかったから。
ちいさな友だちを世に送り出す準備を整えるうちに、私の中にあった地震への恐怖や悲しみは、少しずつやわらいでいきました。 「ちひさきもの」を愛でる時間は、自分自身の手で、自分の心を丁寧に繕っていく時間。
この指針は、私からあなたへ贈る、小さな、けれど確かな再生への祈りでもあります。
“All tiny things are beautiful.”
In the ancient words of Sei Shonagon, I find a deep prayer. To cherish a small, fragile thing is to gently heal one’s own heart. This brand is a sanctuary for the soul, born from the act of loving the “small and beautiful.”
